体験をデザインする

スマートデバイスによるデザインの変化

スマートデバイス(スマートフォン・タブレット)の時代になり、必要とされるデザインも大きく変わりました。 PCの時代には広い画面スペースと潤沢なメモリ領域が確保されていましたが、現代ではいずれも大きく限られています。

しかし、その限られた空間で求められるのは、PCと遜色ない機能です。そのために、その時点で不要な項目は非表示にすることや、 段階的に情報を開示して自然に誘導するなど、様々な工夫をしています。

スマートデバイスではデザインの役割が大きく広がり、「美しい」だけでなく、「機能的であること」が求められているのです。

デザインの役割

人はまず “見た目” と “感じ” で信用するか否かを決めます。色・フォント・レイアウトなど、これを印象づけるのは、もちろんデザインの役割です。 この段階を経てはじめて、”情報量” や “使い勝手” などを判断し、そのアプリケーションが有効であるか否かを決めます。

必然的に情報量が限られるスマートデバイスのアプリケーションがユーザーの信用を得るためには、”使い勝手” が重要な要素になってきます。 操作のリズムを崩さないためには、アプリケーションを理解し、ユーザーの動きを想定することが必須になりました。

つまり、スマートデバイスにおけるデザインの役割は、見た目の美しさだけではなく「ユーザー体験を予め想定して創りだすこと」だと、私たちは考えています。

これからのデザイン

マウスやキーボードなどの間接的な入力装置を必要としないスマートデバイスは、”ユーザーとデバイスの距離” を大きく近づけたと言えます。 この距離の変化は、”出っ張っていれば押せる”、”途切れていればスライドできる”、などのアフォーダンス・キュー(手がかり)を駆使し、直感的に、 説明なしで操作できるデザインを基本とする流れをつくりました。

単純に言えば、PCが理論的・理知的であったことに対し、スマートデバイスでは感覚的・直感的になり、大脳皮質のより内側で感じ、操作しているのです。

また、”距離”という観点で、別の意味でも近づいたと言えます。あなたは今、すべてのデバイスから離れている時間がどれだけあるでしょうか。 目覚めてから再びベッドに入るまで、まったく手放さないという人も少なくないでしょう。この距離を利用し、ユーザーがデバイスを操作するだけでなく、 デバイスが状況を判断し、情報を伝えることも、ひとつのユーザー体験です。

これからのデザインには、技術の進化を理解し、ユーザーの使い方や要望の変化を考え、新しいスマート・デバイスのあり方を予測した上で、 ユーザーに最適な体験を作り出すことが求められるのではないでしょうか。

スマートフォン検証の課題と挑戦

モバイル端末ならではの課題

モバイル端末においては、アプリの操作中や通信中に従来型のPCでは発生しなかった様々な状態が起こりえます。

比較的安定した環境で利用されるPCに比べ、モバイル端末は多様で、時として開発者が想定しえなかった環境で運用される事を考慮しなければなりません。

安定したモバイルサービスの提供を支えるためには、このような事態を見越し、正常環境下の動作だけではなく、異常時(通信異常・負荷状況下)での動作や、 通信時の電文レベルでの確認等も併せて検証する必要があります。

モバイル環境で起こりうる不具合テストは、単なるソフトウェアのテストだけではなく、端末の特性把握もあわせた、トータルでの経験積み上げが役立ちます。

モバイル端末特有のチェック項目の例

通信関連 通信異状、電波の衰弱、エラー対応・復帰

状態変化 縦・横画面切替による画面レイアウトの遷移

センサー情報 GPS情報取得の誤差、カメラ利用時の挙動、ジャイロ/コンパスによる状態取得時の挙動

プラットフォームごとに必要となる課題

モバイルOSは年に1回のメジャーバージョンアップと、複数回のマイナーバージョンアップが繰り返されています。

例えばiOSのデバイスでは、初期のiPhone3Gから最新のiPhone Xまで全て統一のアップデートが適用されているわけではなく、 旧OSが利用されている事があります。(現在、iPhone3G等の一部端末はサポート終了しています) Android端末に至っては、 10数社に及ぶメーカの端末で、大きく5つほどのバージョンが稼働している状況です。

端末メーカーごとのスペックや実装の違いによって、その仕様変更がアプリケーションに及ぼす影響は、通信の不具合、表示位置やサイズのズレ、 メモリリークによる強制終了・フリーズなど、多岐にわたる不具合や問題となって現れるため、その対応には慎重な準備が必要です。

主に対応すべきモバイルOSのバージョン(2012年時点)

iOS 4.x, 5.x, 6.x

Android Gingerbread, Honeycomb,
Ice Cream Sandwich, Jelly Bean

主に対応すべきモバイルOSのバージョン(2017年時点)

iOS 9.x, 10.x, 11.x

Android Jelly Bean, KitKat, Lollipop,
Marshmallow, Nougat, Oreo

進化するアプリとデバイスへの課題

端末の高スペック化やアプリの高機能化に伴い、その利用環境と表現方法は大幅に広がっています。

MITのアプリでも「複数ウインドウ化」「レイアウト変更機能」「多言語対応」等様々な機能が追加されていますが、多機能化すればするほど、 ソフトウェアが取りえる状態は指数関数的に増えていくことになります。

モバイルのビジネスはこれからスマートデバイスに加え、ウェアラブル端末へと広がりを見せようとしていますが、これらについても準備と研究が不可欠です。

MITの挑戦

検証専任チームの設置とそのノウハウ

MIT社内には検証チームとして、10名以上の専任スタッフがスタンバイ。これらの問題に対して、プロダクトごとに独自のノウハウを積み上げた、 6,000項目以上のテストケースやツールを準備し、課題の解決にあたっています。

テストケースは端末の進化や高機能化が行われるたび、その項目を見直して対応の最適化を図っています。

検証ツールの一例

疑似サーバ 発生させにくい通信異常状態等の再現、20種類に及ぶ金融テクニカルチャートを再現

自動検証ツール メモリリークや異常状態を再現

圏外再現ツール 物理的に通信を遮断、圏外状態を再現

バージョン管理 Jenkinsなどによる自動化

端末環境の準備

MITでは約200台のスマートフォンやフィーチャーフォンを準備しています。 OSや新機種がリリースされた場合、複数の端末で比較検証を行いながらスピーディな不具合調査や修正の実現を目指しています。

クォリティと効率の両立

不具合を見落とさないようにきめ細かい対応を進める一方、低コストを両立できるよう、デシジョンテーブル等の検証手法と、 これまでのノウハウを融合して、効率的な検証パターンを抽出しこれに臨んでいます。

これからの変化に対応する柔軟性

ミッションクリティカルな金融アプリと、感覚が重要視されるゲームアプリでは、要求されるテスト項目は全く異なります。 このようにモバイルアプリケーションの活用範囲が大きく広がった今日、様々な機能、利用形態に対応したテスト環境が求められています。

MITではユーザーの環境情報を利用するアプリをはじめ、金融からゲームまで、様々なジャンルのコンテンツについて、 クライアント/サーバ環境まで含め動作検証を実施してきました。

日々これらに最適な検証要素は変化していきますが、モバイル専業のソフト開発会社として培ってきたノウハウの蓄積、検証メニュー、 人材をそろえて対応しております。
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